大声援に勇気をもらった宮野は、もう中途半端なバッティングはやめよう、思い切りバットを振ろうと心に決めていた。もう迷いはなかった。

そしてその第一球目。インコース低めのストレート。宮野は思い切りスイングをした。ひざ元への速い球にバランスを崩してしまった宮野は、尻もちをつき、そしてヘルメットが飛んだ。


「しっかりしろ!」「ちゃんと練習してんのか!」と、観客からはヤジが飛んだ。そんなヤジが飛び交う中、川西も声を上げた。


「全力の空振りって気持ちがいいね!」


以前にも空振りをした宮野に送った声援だった。川西にとっては、無様な姿でもいいからフルスイングすることのほうが大事だった。そんな全力の宮野を見たかったのだ。


続いて二球目。同じくインコース低めのストレート。さきほどよりさらに厳しいコースだった。宮野は初球と同じようにフルスイング。しかし今度は軸の全くブレない、力強いスイングだった。


バットの風圧がスタンドにまで届きそうなぐらいの迫力のあるスイングだった。先ほどヤジを飛ばしていた客席からは「いいぞ宮野!」「当たればホームランだ!」と、歓声が上がった。あまりの迫力に、相手野手が少し守備位置を下げた。

(つづく)


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